新卒で大手かベンチャー、どちらに行くべきか。

 ベンチャーに行くべきか、大手企業に行くべきか。これは働くことに対して真剣に考え、将来のキャリアに対して希望を持っている就活生の多くが悩むテーマの1つだと思います。結果的に大企業に就職したので若干のバイアスがあることはご容赦いただきたい。

 私自身、就活生時代にこのテーマについては悩みました。大手に行けば安定かもしれないがやりがいや成長、楽しみ(裁量)はないが、ベンチャーに行けば自分の成長を感じ、楽しくガツガツ給料を稼ぐことができるのではないかと悩みました。

※ここでいうベンチャーとは創業1年未満~数年、従業員数も数人~10人前後の規模のことを指します。サイバーエージェントや楽天やグリー、GMO、DMM、DeNAなどは上記のようなベンチャーとは区別しメガベンチャーとして考えるべきです。(ファーストキャリアとしてのブランド的な認知度もあり、規模でいえば間違いなく大手なので、単に大手企業といってもいいかもしれません。)
余談ですが、あの高収入の秘密結社、キーエンスも30年と少し前はベンチャー企業でしたが、今ではTOPIX Core30銘柄であり、立派な大手企業です。IT関連企業以外で、この30数年でこんな急成長をとげたキーエンスは本当にすごいと思います。つい10年少し前まではマーチ未満のいわゆる無名大学からの就職する人も多かったですが、現在では超高年収企業であるため有名大学出身者が多数です。

私が大手に就職した理由

 結論からいえば、私は大手企業に就職しました。当時の私がベンチャー企業に就職せず、大手に就職した理由は以下の通りです。

良いベンチャーを選ぶことができなかった

 当時の私は良いベンチャーを選ぶことにができないと判断しました。ここでいう”良いベンチャー”とは軍隊のようなマインドセットがなく、給料は低くても仕事を楽しめるような環境があり、調達、財務も含め幅広い業務を体験することができ、給与は低くとも自分のスキルアップにつながるような会社を指します。

 新卒採用担当の社員や、社員座談会などでは基本的に良いことしか言いませんし、向こうの担当者は自信も就活を経験し、採用も経験してきているわけです。そういった人たちからすれば、就活生に希望を持たせてやる気にさせて入社に導くなんて事は慣れているのです。社員座談会などで楽しい雰囲気でフランクに話せるものもありましたが、本当にヤバイ部分なんて就活生にまず話しません。当時の私は、詳しい業界があるわけでもなかったし、かといって客観的なデータなどからベンチャー企業を比較する術も持っていませんでした。

 有力なメンター、その業界に詳しく頼りになる社会人の先輩がいて、なおかつアドバイスをもらうことができていればオススメされるベンチャーに行っていたかもしれません。

大手に入るチャンスは新卒切符だけ

 これはよく言われていることですが、大手企業からベンチャー企業への転職はできるが、ベンチャー企業から大手企業への転職は難しい。これは社会人になったいまでも正しかったと自信をもって言えます。新卒採用はポテンシャル採用だが、中途で大手に入るにはポテンシャル採用ではなく実績が必要だということです。

 事実、身の回りで大手企業→大手企業の転職(第二新卒扱い)はよく聞きますし、大手企業→ベンチャー企業への転職もよく聞きます。最近ベンチャーに行く人だと人工知能やAI系の会社に行く人が多いです。しかし、ベンチャーから大手企業への転職は(ある程度実績を作った)上の世代にならないと、あまり聞くことがありません。具体的には30代以上になってからです。

ベンチャー企業は概して給与が低い

 これはすべてのベンチャー企業が当てはあるわけではありませんが、概して年収が低いです。やりがい搾取といわれる勝ちです。本当にやりがいや貴重な経験をつみ、スキルを積むことができれば良いでしょう。ベンチャーの醍醐味はスキルをつけて次々転職し、賃金アップを狙えることがあると思います。が、今現在、ベンチャー企業勤務で私より稼いでいる同世代の人を見たことがありません。狭い世界だと言われればそうかもしれませんが、同じような能力であれば大手企業へ入るほうが給料も休みも多いと思います。

 それを差し置いてもスキルアップ、将来の独立といった目標のために働ける人、work as life な生き方を厭わない覚悟ができている人はベンチャーに行くべきだと思います。正直、若いうちの給与は期待できません。(期待値的に)

 例えば、私は新卒3年目で年収550~600万程度でしたが、転職を数回繰り返し、某有名マッチングアプリ関連のITベンチャーで働いていた方は社会人歴4年目で年収400万程度でした。生きていく上で、高く安定した収入は大事です。この例だと月に約10万も差が有ることになります。

これらの理由から新卒就活でベンチャーへ行かず、大手企業を目指すことにしました。

 

大手企業のメリット

ここからは社会人になってから感じる大手企業の良い点について考えます。

社会的信用が高い

金融面

 まず、金融関係ですが、大手企業は入社するだけで、新入社員がゴールドカードを作ることができますし、限度額枠も数百万あります。数か月前まで茶髪でバイトしてた学生でも大手企業に入社すればそうなります。
 住宅資金のローンも破格の金利で融資を受けることができます。ローン関係は公務員や医者が最も有利です。公務員はよっぽど仕事ができなくても、犯罪さえしなければ首にならず、給料が少ないながらも確実に上がっていく最強の安定職だからです。また医者は言わずもがなです。それらの次に大手企業の会社員は有利な金利でお金を借りることができるので、同じようなマンションを買ってもトータル支払額が少なく済みます。

交際面

 これは初めて人に会った時に、大手企業の社員だとそれだけで一定の信用を得ることができます。男性だとCAさんや丸の内OL、女性だとパイロットや医師、大手財閥系商社マンたちと横のつながりで知り合えることもできます。また交際相手の両親に挨拶するとき、企業名を名乗るだけで一気に信頼し安心してもらえる率が高いです。

人生プランが立てやすい

 崩れつつあるという終身雇用、年功序列ですが、大手企業はなかなか社員を切りません。大赤字になって初めて希望退職を募りだすぐらいだし、大手企業が破産するとその下請けや関連企業、グループ会社を含め日本経済全体への経済的影響が大きいので税金が投入されることもしばしばあります。また大手企業ではクビになる事は極めて少なく、将来もらえる給料の見込みが立てやすく、結婚、マイホーム購入などの人生プランが立てやすいといえるでしょう。ただし、クビにはならなくとも子会社への転籍はあります。

犯罪を犯しても報道がすぐに止まる

 これはあまり知られていないのではないでしょうか。大手企業はブランドイメージを大切にしており、マスコミ関係に圧力をかけて、社員の不祥事などの報道を平日の午前のみの一日だけの報道に抑えたりすることがあります。もしも、この先何かの過ちを犯し報道されるようなことがあっても、大手企業勤めであれば、よっぽど激震を起こす事件でもない限りほとんど報道されることはないでしょう。(過労死など労使問題は別ですが)

大きな仕事ができる

 ここでいう大きな仕事とは国の仕事などです。大手企業というのはその業界を代表するような会社が多いです。そのため、ODAやその他の国家プロジェクトにマネージャー等の管理ポジションで参画する事ができます。また、国会や政府系の仕事で有識者として招集されたり、各省庁へ出向し官僚とともに働くといった経験ができるチャンスがあります。ただし、20代ではまず無理でしょう。コツコツと仕事に励うことが大切です。

大手企業のデメリット

人事異動の振れ幅が大きい

 多くは都会勤務でも、一定数は子会社に左遷出向する人、海外子会社に若いうちから経験として出向させられる人、田舎の子会社に飛ばされる人、そういった人は毎期の人事異動で必ずいます。大勢はそうではなくても一定数は大勢に入らない稀有な人事異動は必ずあります。第二新卒も使えない年齢になり、そうなった場合、会社を飛び出すスキルがなければくいしばってその異動を受け入れ、会社にしがみつくしかありません。

勤務地が多い

 これは上述したことにも関連しますが、ほとんどの会社は西洋、アジアなどいろいろなところに海外子会社・拠点を持っています。海外に行きたくて入ったのならばいいですが、また海外でも非英語圏など自分の希望にそぐわない異動になることもあります。

希望通りの仕事ができない可能性

 自分の希望する仕事に人員の空きがない場合、なかなかしたいすることができません。大手企業は仕事が役割分担されているため、同じ部でも人によってやっている仕事は全く違うということが往々にしてあります。というか多くの人は最初から望んでいた仕事に就かせてもらえないでしょう。希望通りの仕事ができなくても、腐らない心が大事です。

ドメスティックスキルが身につく

 大手企業では社内の事務処理が結構な割合を占める事もあります。そういったポジションの仕事に割り当てられてしまった場合、その会社(およびグループ会社)でしか、役に立たないドメスティックスキルが身につくことが良くあります。これは一長一短ですが、もしも会社が傾いたときのためにスキルを磨いておきたいと思う人にとってはデメリットではないでしょうか。

社内稟議が重労働

 企業では新しく事業をする場合や撤退する場合、案件の規模やその他の条件にそってその都度稟議を行い、上司や管理職からの許可を取る必要があります。大手企業の場合、ベンチャー企業に比べ、この仕事をするための稟議の書類作成、説明などが大変重労働で有ることが多いです。そのため、「大企業はスピード感がない」といわれる一因になっています。

PJ期間が長いものが多い

 大手企業では規模の大きい案件が多く、そういったPJに回されると数年その1つのPJに従事するということがあります。いろいろな仕事を経験したい、もっと短いスパンの仕事を数多くこなしたい、そういう人は安易に配属面接などで大きな仕事がしたいなどと言わないようにしましょう。数年1つの案件に従事するということは自分のキャリアの幅をその案件関連のものに特化する事につながります。

ベンチャー企業のメリット

続いてベンチャー企業の良い点について考えます。

平均年齢が若い

 多くの大手会社では、日本の人口ピラミッドを表したように上の世代ほど人数が多くまた、数年前のリーマンショックのダメージを受けた会社も多いためその時期に採用を停止(またはかなり絞った)ところが多いです。そういったところでは30代が少なく40代がメインのような職場になっています。

 それに比べ、ベンチャーは一般的に若い人が多いです。これは大手企業に勤める身分としては大変うらやましいです。

チャレンジングな人が多い

 上述したことにも関連しますが、若い人が多いので、人生のうちで結婚して子供を授かり家を買い、いわゆる”守りのフェーズ”に入った人が少ないです。またベンチャーを選ぶような人たちなので、野望を語る人達が多く、非常に生き生きしている人が多いです。そういった環境に身を置けば自ずと感化されていくでしょう。

ストックオプション

 個人的に最も羨ましいのがこちら。まず、ストックオプションについてですが、wikipediaによれば次の意味です。

ストックオプションとは、株式会社の経営者や従業員が自社株を一定の行使価格で購入できる権利。

 つまり、未上場の会社の株を社員が少しずつ買うことができ、上場した際には必ず株価は上がるのでその株価と購入時の株価の差分で利益を得ることができることです。最近ではメルカリが上場しましたね、株を買っていた社員たちは相当もうけたのではないでしょうか。設立当時から株を購入している創業メンバーに近ければ近いほど利益は大きくなります。ソフトバンクでは古株の重役たちが自社株で富を築き次々にやめて行ったということを聞いたことがあります。ただ、すべてのベンチャーが必ずしも上場するとは限りませんから、会社選びは大事です。

ベンチャー企業のデメリット

 これは大企業のメリットの裏返しになります。それに加え、概して労働時間に対して金銭的対価が少ないといったところでしょうか。

ベンチャーに向いている人

 最後に、ベンチャーに向いていると思う人について考えます。冒頭で私は”work as life な生き方を厭わない覚悟ができている人”がベンチャーに向いていると言いました。

 ここからは完全な私見ですが、ガチのベンチャーで働くには圧倒的な熱量とフットワークの軽さ、そしてずば抜けた頭脳が必要だと感じます。私の周りでベンチャーで活躍していると感じるは東大卒・京大卒が多いです。本当に少人数のエリートたちだけで構成されている小さい会社に勤め、様々な業務を体験し、知識を吸収している人が多いです。大学生時代に物理学、プログラミング、人工知能を学び就職し、会計知識、財務知識、マンション投資、途上国投資、会社立ち上げを経験して、理系修士卒なのに会計士にもなっちゃう、そんなレベルの超人クラスタに属する人たちです。そんなレベルで有れば大企業に入るよりも、本当の意味でのベンチャーに勤め、なんでもやって新たなビジネスチャンスを探すのもいいかもしれません。

 逆にマーチクラスだと、中途半端な規模のベンチャーに入り、様々な経験がつめるわけでもなくどちらかというと安い労働力として買いたたかれていると感じる人が多いです。超人クラスタじゃないけどそこそこチャレンジングな環境で働きたいという人は収入もあり、大手企業となった会社を目指すとよいでしょう。具体的にはリクルートやDMM、ソフトバンク、DeNA、Yahoo!などのメガベンチャーです。これらの会社は今後も社会を変えていく企業に違いありません、そういった会社には間違いなく野心持った人若者たちが必ずいます。間違っても中途半端なベンチャーに入り、貴重なあなたの人生を買いたたかれてはいけません。見極める自信がないのであれば大手を目指すべきでしょう。

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